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安部 晋一郎; 佐藤 達彦
EPJ Web of Conferences, 122, p.04002_1 - 04002_6, 2016/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0.06(Physics, Nuclear)高レベル放射性廃棄物に含まれる長寿命核種(LLFP)の処理方法として、核変換技術が研究されている。しかしながら、Sr, Sn, Csなどの中性子吸収断面積および核分裂断面積が小さい核種に関しては、中性子による核変換が困難である。このような核種の核変換について、負ミューオンの適用が検討されている。低エネルギーの負ミューオンは原子に捕獲されミューオン原子を形成し、その後崩壊または原子核に捕獲されるが、このミューオンを捕獲した原子核は中性子や陽子などを放出し、別の核種へと変換される。放射線輸送計算コードPHITSの最新版では、負ミューオン捕獲反応の計算機能が実装された。そこで、PHITSを用いて負ミューオン捕獲反応による核変換の実現可能性の調査として、Srによる負ミューオン捕獲反応を計算した。その結果、94%の負ミューオンが原子核に捕獲され、66%のSrが安定核または半減期20日以下の核種へ変換されることが確認された。一方で、15%のSrは元よりも半減期の長いRbへ変換されることも判明した。
佐藤 大樹; 佐藤 達彦; 遠藤 章; 松藤 成弘*; 佐藤 眞二*; 高田 真志*; 石橋 健二*
Nuclear Science Symposium Conference Record, 2005 IEEE, Vol.3, p.1288 - 1290, 2005/10
シンチレーション検出器を用いて中性子のエネルギースペクトルを測定するためには、検出器の応答関数が必要とされる。この応答関数を精度よく評価するためには、入射中性子とシンチレーション物質との核反応による荷電粒子生成と、それに伴う発光機構を解明することが重要である。そこで、液体有機シンチレータにおける、荷電粒子の運動エネルギーと光出力の相関を調べるために、放射線医学総合研究所HIMACにおいて、さまざまな荷電粒子に対する応答関数を測定した。液体有機シンチレータとして、中性子測定で広く利用されているBC501Aを用いた。各種荷電粒子は高エネルギー重イオンの炭素ターゲットへの入射核破砕反応により生成され、粒子弁別後に飛行時間からその運動エネルギーを求めた。実験から得た荷電粒子の運動エネルギーと光出力の相関を、半実験式と比較したところ、陽子と重陽子に関しては非常に良い一致を示した。しかし、粒子に関しては、系統的に大きな値を与えることを明らかにした。
佐藤 達彦; 佐藤 大樹; 遠藤 章; 山口 恭弘
Journal of Nuclear Science and Technology, 42(9), p.768 - 778, 2005/09
被引用回数:17 パーセンタイル:73.42(Nuclear Science & Technology)高エネルギー加速器施設の作業環境,環境中のバッグランドに存在する中性子,光子,ミューオンによる線量を高感度に測定できる線量測定システムDARWIN(Dose monitoring system Applicable to various Radiations with WIde energy raNges)を開発した。この測定システムは、検出器に液体有機シンチレータをLi-6含有ZnS(Ag)シンチレータで取り囲んだホスウィッチ型検出器を用い、各粒子に起因する信号を波形弁別により識別し、これに線量変換係数を乗じることでリアルタイムで線量を評価することができる。実験及び計算により、DARWINは、従来のモニタに比べ感度,適用粒子の多様性及び適用エネルギー範囲の点で優れた特性を有することを明らかにした。
佐藤 大樹; 佐藤 達彦; 遠藤 章; 山口 恭弘; 高田 真志*; 石橋 健二*
AIP Conference Proceedings 769, p.1680 - 1683, 2005/05
高エネルギー中性子に対する有機液体シンチレータの応答関数を評価するために、SCINFUL-QMDコードを開発した。SCINFUL-QMDによる計算結果の妥当性を調べるため、放射線医学総合研究所のHIMACにおいて、有機液体シンチレータの応答関数を測定した。800MeV/uのSiイオン及び400MeV/uのCイオンを、厚い炭素ターゲットに入射させ、核破砕反応により放出された中性子に対して、飛行時間法によりその運動エネルギーを測定し、入射中性子エネルギーごとの応答関数を導出した。実験値とSCINFUL-QMDによる計算値を比較した結果、SCINFUL-QMDは、既存の応答関数計算コードよりも適切に実験値を再現できることがわかった。
佐藤 大樹; 佐藤 達彦; 遠藤 章; 山口 恭弘; 高田 真志*
NIRS-M-180, p.263 - 264, 2005/05
原研が開発を進めている液体有機シンチレータを用いた中性子モニタによる数百MeV中性子に対する線量評価法を確率するため、放射線医学総合研究所HIMACにてNE213液体有機シンチレータの応答関数測定を行った。800MeV/uのSiイオン及び400MeV/uのCイオンを厚い炭素ターゲットに入射させることにより、高いエネルギーの中性子を生成した。中性子の運動エネルギーは、飛行時間(TOF)法により決定した。中性子とともに生成される線と荷電粒子イベントは、オフライン解析により除去した。得られた中性子の応答関数データは、シンチレータの応答を中性子線量に換算するG関数導出に利用されるSCINFUL-QMDコードの結果と比較された。両者は非常に良い一致を示した。
渡辺 元太郎*; 丸山 敏毅; 佐藤 勝彦*; 泰岡 顕治*; 戎崎 俊一*
Physical Review Letters, 94(3), p.031101_1 - 031101_4, 2005/01
被引用回数:93 パーセンタイル:91.79(Physics, Multidisciplinary)分子動力学シミュレーションを用いて原子核物質の構造を計算する。標準原子核密度以下の密度での原子核物質は、密度によって球状,棒状,板状,棒状穴,泡状,一様といったいわゆるパスタ構造をとることがさまざまな計算で示されている。しかしこれは平衡状態に関するものであり、超新星爆発のように密度が時間とともに動的に変化する場合にこのパスタ構造が現れるかどうかは自明ではなかった。われわれは分子動力学シミュレーションを時間的に密度が高くなる系に摘用して、棒状構造から板状構造,板状構造から棒状穴構造に変化する様子を確かめた。構造変化は、有限温度での物質の熱的揺らぎによって隣り合った液相同士が接触,融合することで起こる様子がみられた。
岩本 修; Rong, J.; 深堀 智生; 千葉 敏
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.2), p.128 - 131, 2002/08
10MeVから10GeVの核子入射による核分裂断面積とフラグメント分布を量子分子動力学(QMD)と統計模型(SDM)により計算した。AuとBiとUに対する核分裂断面積を計算し実験値と比較した。計算値は実験値を比較的よく再現している。また1.6GeVと190MeVにおける陽子の入射エネルギーで、それぞれPbとThに対し質量及び電荷分布を計算した。
近角 真平*; 丸山 敏毅; 千葉 敏; 仁井田 浩二*; 岩本 昭
Physical Review C, 63(2), p.024602_1 - 024602_10, 2001/02
被引用回数:20 パーセンタイル:73.8(Physics, Nuclear)重イオン反応におけるフラグメント質量分布はSpectator領域とParticipant領域でそれぞれ特徴的な分布を示すことが実験的に知られている。分布形成の機構にはフラグメントの源が本質的な働きをしていると考えられるが、その状態は有限性のために複雑であり、どの要素がフラグメント生成機構に本質的な役割を果たしているかを知ることは困難である。そこで本研究ではフラグメント源の状態を理想化したものとしてQMDを基礎とした一様膨張核物質モデルを導入しフラグメント生成機構の本質を明らかにする。遅い膨張はspectator領域に、速い膨張はparticipant領域に対応させることができて、膨張速度を変えることで両者を統一的に研究することが可能である。膨張は飽和密度から一定速度でスタートして、十分に希薄になった段階で生成しているフラグメントの質量分布と膨張速度及び初期温度の関係を考察する。シミュレーションの結果、膨張速度を変化させることでspectator領域からparticipant領域への典型的なフラグメント質量分布を再現できることが確認できた。とくに遅い膨張速度では臨界温度以下でもspectator領域に特徴的なパワー則が現れることが見いだされ、液相気相相転移とは異なる機構でパワー則が現れることを示した。
Y.-O.Lee*; J.Chang*; 深堀 智生; 千葉 敏
Journal of Nuclear Science and Technology, 36(12), p.1125 - 1134, 1999/12
被引用回数:10 パーセンタイル:60.71(Nuclear Science & Technology)Alに対する2GeVまでの中性子及び陽子入射核データの評価を行った。分散関係及びDirac現象論的効果を取り入れた現象論的非相対論光学ポテンシャルパラメータの最適なセットが、20-250MeVの中性子及びしきい値250MeVの陽子エネルギーに対して得られた。光学模型を用いて導出した中性子及び陽子の透過係数は、軽い放出粒子及び線のエネルギー-角度相関スペクトルの計算を行うため、GNASHコードシステムの入力データとして使用された。250MeV-2GeVの入射エネルギー範囲に関しては、全断面積、反応断面積及び弾性散乱断面積は、最新の系統式を用いたフィッティングにより評価した。放出核子及びパイ中間子スペクトルは、統計崩壊を考慮した量子分子動力学法(QMD+SDM)により推定した。
仁井田 浩二*; 丸山 敏毅; 奈良 寧; 千葉 敏; 岩本 昭
JAERI-Data/Code 99-042, p.73 - 0, 1999/09
QMD(Quantum Molecular Dynamics)モデルは重イオン入射反応を記述する有効なモデルとして80年代後半に提案された。原研先端基礎研究センターでは、このQMD理論を発展させ原研版QMD模型を構築し、核子あたり数10MeVから数GeV領域の核子や重イオン入射反応に対する有効性を示し、核物理及び核データ分野で多くの成果を挙げてきた。本報告では、原研版QMD模型に基づく計算コードJQMD(Jaeri Quantum Molecular Dynamics)に含まれる物理モデルとプログラムの解説、利用の手引きとなるいくつかの計算例をまとめた。
川井 渉*; 川崎 信夫*; 渡辺 秀雄*; 根本 俊行*; 石附 茂*; 田邊 豪信*; 小笠原 忍*; 足立 将晶*; 久米 悦雄
JAERI-Data/Code 99-020, 168 Pages, 1999/03
本報告書は、平成9年度に情報システム管理課で行った原子力コードのVPP500における高速化作業のうち、並列化作業部分について記述したものである。原子力コードのVPP500(一部AP3000)における高速化作業は、平成9年度に14件行われた。これらの作業内容は、今後同種の作業を行ううえでの参考となりうるよう、作業を大別して、「並列化編」、「ベクトル化編」、及び「移植編」の3分冊にまとめた。本報告書の並列化編では、円筒座標系直接数値解析コードCYLDNS44N、放射能粒子拡散予測コードWSPEEDI、拡張量子分子動力学コードEQMD及び三次元熱流体解析コードSTREAMを対象に実施した並列化作業について記述している。
明午 伸一郎; 千葉 敏; 秦 和夫*
Journal of Nuclear Science and Technology, 36(3), p.250 - 255, 1999/03
被引用回数:1 パーセンタイル:13.15(Nuclear Science & Technology)量子論的動力学(QMD)と統計崩壊モデル(SDM)を用いて、710MeV粒子を厚いターゲット(水、炭素、鉄及び鉛)に照射した場合に生成する中性子のスペクトルの計算を行い、実験との比較を行った。QMD+SDMによる計算は、核内カスケードモデルのHETC-KFA1コードを用いた計算に比べて、すべてのターゲットに対して実験とよりよい一致を示した。20MeV中性子の平均自由行程よりも厚いターゲットにおける後方角の中性子スペクトルを再現するためには、輸送効果が重要であることがわかった。
丸山 敏毅; 仁井田 浩二*; 親松 和浩*; 丸山 智幸*; 千葉 敏; 岩本 昭
Nuclear Physics A, 654(3-4), p.908C - 911C, 1999/00
超新星や中性子星表面における、低い密度領域では、密度の低下とともに、一様な構造から泡状の穴、パイプ穴板状、棒状、球状原子核へと構造が変化するのではないかと言われている。この奇妙な形状は超新星爆発の際、爆発強度を左右するニュートリノ吸収過程に影響したり、中性子星自転周期の変動のメカニズムに大きくかかわっている可能性がある。われわれは原子核反応の微視的シミュレーションであるQMDに周期境界条件を課すことで核物質のシミュレーションを行った。その結果従来の研究で予想された構造に近いものが現れたが、形や配置が不規則で、また低密度では粒子等の軽いクラスターが混在するという、これまでの研究と異なる点も見られた。
加藤 香*; 功刀 資彰; 小竹 進*; 芝原 正彦*
JAERI-Data/Code 98-007, 104 Pages, 1998/03
本報告書は、光量子物質相互作用シミュレーション用に開発されている、量子分子動力学コードQQQFのFujitsu VPP上でのベクトル並列化及び、VPPからIntel Paragon XP/Sへの移植及び並列化、並びに光モンテカルロ-分子動力学ハイブリッドコードMONTEVに対するVPPからParagon XP/Sへの移植及び並列化について記述したものである。
加藤 香*; 功刀 資彰; 芝原 正彦*; 小竹 進*
JAERI-Research 98-008, 25 Pages, 1998/02
日本原子力研究所関西研究所では、物質における光熱変換機構を解析するために量子分子動力学コードを開発している。このコードをスカラー型超並列計算機Intel Paragon XP/S75とベクトル型並列計算機Fujitsu VPP300/12上で並列化した。粒子群を分割し各プロセッサユニットへ割り付けることにより、台数分の効果を両並列計算機で得た。スカラー型超並列計算機Intel Paragon XP/Sでは、各粒子の計算を構成する演算の分割を粒子群の分割に加えて行うことにより、量子分子動力学コードの高並列化を達成した。
丸山 敏毅; 仁井田 浩二*; 親松 和浩*; 丸山 智幸*; 岩本 昭; 千葉 敏
Physical Review C, 57(2), p.655 - 665, 1998/02
被引用回数:107 パーセンタイル:97.06(Physics, Nuclear)原子核反応のシミュレーションであるQMD(量子分子動力学)法を周期的境界条件を課した上で核物質無限系に適用した。飽和密度以下では、核物質が一様なものから非一様な構造をもったものへと変化し、これが状態方程式を軟かくすることを見出した。また非一様な構造が、密度によって棒状や板状に変化する様子も見られた。陽子含有率の小さな中性子星物質では、中性子の海にクラスターが浮かんだような構造になり、クラスターの形状も陽子含有率によって異なることが分かった。これらの現象は中性子星のグリッチや超新星爆発のプロセス解明に重要な意味をもっている。
岩本 昭; 仁井田 浩二*; 丸山 敏毅; 丸山 智幸*
Progress of Theoretical Physics, 98(1), p.87 - 94, 1997/07
被引用回数:18 パーセンタイル:72.47(Physics, Multidisciplinary)入射エネルギーが核子当り100、250、400MeVの金と金の核反応で放出される、中間質量分裂片の数について理論計算を行った。中間質量分裂片(IMF)の衝突係数依存性を解析した結果、次の2点が明らかになった。1)統計崩壊の影響は非常に大きく、省略することができない、2)フェルミ運動の影響はIMFの数を増加させる。計算にはQMD模型と統計模型を組合せて用いた。
丸山 智幸*; 仁井田 浩二*
Progress of Theoretical Physics, 97(4), p.579 - 586, 1997/04
被引用回数:8 パーセンタイル:57.28(Physics, Multidisciplinary)一核子当たり5GeV/uのエネルギーで粒子を入射させて全標的に衝突させる反応を、RQMDを用いて数値的にシミュレートさせて理論的な研究を行った。その結果、この反応過程において中心付近に穴のあいたエキゾチックな形の原子核が形成されること、その原子核はその後横方向に膨張して多重破砕片反応を起こして、小さな原子核に分裂することを示した。このような過程を経ることによって、中間質量破砕片の角度分布が横方向ピークを持ち、高エネルギー研究所の実験結果と一致することを示した。
岩本 昭
Proc. of Int. Conf. on Nucl. Data for Science and Technol., 59, p.221 - 225, 1997/00
入射エネルギーが数十MeVから5GeVの、核子入射核反応計算のレヴューである。計算模型は分子動力学法に基づいたQMDを用いて、放出される核子やパイオン及び残留核の分布の断面積を計算して実験データと比較する。特に多段階過程の反応機構が議論され、FKK模型や半古典的DWBA模型との比較が行われる。
千葉 敏; 仁井田 浩二*; 岩本 修
Physical Review C, 54(6), p.3302 - 3304, 1996/12
被引用回数:12 パーセンタイル:58.21(Physics, Nuclear)量子分子動力学(QMD)を用いて、中間エネルギー核子入射反応において入射粒子が持ち込むエネルギーが熱化される時間スケールを研究した。熱化を計る尺度として、衝突する2核子系での平均運動エネルギーを採用した。その結果、熱化に要する時間は20fm/c(710秒)のオーダーであり、通常複合核過程の時間スケールとして信じられている時間(10秒)に比べて非常に小さいことがわかった。また、このようにエネルギーが急速に複合系にダンプしていく理由を定性的に説明することができた。このように入射エネルギーが20fm/c程度の時間で熱化することが分かり、我々が従来より行っているようにQMDと統計崩壊模型を100fm/cの時間で接続して用いる妥当性が直接的に示された。